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<酒造りの工程>麹カビや酵母など微生物の働きを巧みに利用する日本酒造りの製造法は江戸時代初期の頃にほぼ完成され現在も基本的に大きな 変化はありません。
一般にはこのような工程を経て日本酒は出荷されます。 <酒造好適米> 私達が一般に食べる飯米と同じジャポニカ系統の水稲うるち米に属するお米であればどの 品種のものでも日本酒を造る事ができますが、なかでも酒造りに適した米を「酒造好適米」と呼びます。酒造好適米は、一般の飯米に比べ て粒が大きく、白い芯の部分(心白)も大きい上に、たんぱく質含有量が少ないという三つの条件を満たした品種です。 心白はでんぷん粒が粗い部分で、これが大きいと麹カビが繁殖しやすい特長があります。大粒心白米は吸水も早く、蒸すと粒の外側が固く内側 が柔らかい、さばけの良い蒸米になります。また、米にはたんぱく質や資質、灰分が含まれていますが、これらが多過ぎると、味や香りを損なって しまいます。これらの成分の多くは米の表層部に含まれているため、酒造りでは必ず米を精米するのです。 酒造好適米は一般の飯米に比べて栽培が難しいこともあり、現在の酒造り需要の全てを酒造好適米でまかなうまでには至っていません。そのため 一般の飯米もかなりの量が酒米として使われています。 現在44品種の米が、酒造好適米として食糧庁の指定を受けています。その代表的なものとして、山田錦、五百万石、美山錦、雄町、 たかね錦、兵庫北錦、兵庫夢錦、などがあります。また、指定を受けていない一般米ですが、日本晴、 コシヒカリ、中生新千本、アケボノなどは酒造用原料としてよく使われています。 <酵母ってなに?> 酵母というのは出芽または分裂によって増殖する単細胞の微生物のことで、糖分をアル コールと炭酸ガスに分解する作用を持ちます。日本酒の特色は酵母の性質に大きく影響されるため、目的に合った酵母を選ばなければなりません。 日本酒の醸造に用いる清酒酵母は20%もの高濃度までアルコールを生成でき、低温下での発酵にも大変強いのが特徴です。 現在、優良な清酒酵母として広く使用されているのは日本醸造協会から頒布されている「きょうかい酵母」です。ところで、長年醸造 を続けてきた酒蔵には、固有の酵母が建物内に住み着いており、この酵母を「家つき酵母」と呼んでいます。昔の伝統的な酒造りではこ の家つき酵母を培養して酒母を造っていました。 <精米歩合ってなに?> 酒造りには必ず米を磨くことが必要で、これにより玄米の胚芽や表層部に多 く含まれるたんぱく質などを取り除きます。これを精米といい、どれくらい精米するかを精米歩合で表します。精米歩合とは、投入した玄 米重量に対する出来上がりの白米重量をパーセントで表した数字です。大吟醸酒では40%以下まで精米することもあります。すなわ ちもともとの玄米から六割ほども削り取ってしまった残りを使うことになります。ちなみに、通常の飯米の精米歩合は92%ぐらいです。 <酒母ってなに?> 日本酒のアルコールは、酵母という微生物の働きによって生成されます。その酵母を、 蒸米と麹、水の混合物の中で大量かつ純粋に培養したものが酒母です。酒母は「もと(酉へんに元と書く)」とも呼び、文字通り日本酒を作 る元で、良い酒母造りは良い日本酒造りの基本です。 酒母は、酒母育成中に、麹などに付着している乳酸菌を自然増殖に導くことによって必要な乳酸を生成させる生もと系酒母と、 仕込み時に醸造用乳酸を添加する速醸系酒母とに大別できます。速醸系酒母は短期間で製造できる上に操作も簡単なことから、ほとんど の日本酒造りで使用されています。 <山廃仕込みってなに?> 生もと系酒母の「山卸廃止もと」を略して「山廃もと」と いいます。生もとの製造の初期段階で行われる「山卸」という工程を廃止した酒母であり、山廃仕込みとは、この山卸廃止もとを用いて造っ た日本酒です。 生もと造りの工程で山卸作業は厳冬期の夜中に行なわれる辛い仕事でした。ところが明治の末期になって、この山卸と同じ効果を 得られる作業手順が発見され、実用化されました。 宍粟郡の酒造りではじめてこの山廃仕込みを導入した経緯が、「宍粟郡酒造沿革雑記」にも記載されています。 (出典):「日本酒百味百題」(発行:野本信夫 監修:小泉武夫)より引用させていただきました。 <吟醸造りってなに?> 吟醸造りとは、特別に吟味して醸造することをいい、伝統的には、より良く精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、粕の割合を高くして、特有な芳香(吟香)を有するように醸造することを言います。 吟醸酒は、吟醸造り専用の優良酵母、原料米の処理、発酵の管理から瓶詰め・出荷にいたるまで高度に完成された吟醸造り技術の開発普及により商品化が可能となったものです。 |
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